緊急処置
【1】頻脈,過呼吸,低血圧などバイタルサインが不安定で出血性ショックが疑われる場合は,すみやかに輸液・輸血により循環動態を安定させるべきである。
【2】原則として入院加療が必要であり,内視鏡検査により出血源の検索および止血処置を行う。
【3】内視鏡で出血源の同定および止血処置が困難な場合は,血管造影およびinterventional radiology(IVR)を考慮する。
診断のチェックポイント
●定義
❶吐血とは,消化管内腔に流出した血液が,肉眼的に明らかな出血と確認できる状態で口腔から体外へ排出されることと定義される。一般にTreitz靱帯より口側の上部消化管からの出血とされるが,まれに上部空腸が出血部位の場合もある。
❷通常,吐物は胃内の塩酸によりヘモグロビンがヘマチンに変化するため黒褐色のコーヒー残渣様を呈するが,食道胃接合部より口側からの出血や,大量の胃十二指腸出血では鮮血を吐出す