診療支援
診断

急性腹症
Acute Abdomen
仲瀬 裕志
(札幌医科大学教授・消化器内科学講座)

緊急処置

 一番重要なことは,バイタルサインが安定しているか否かである。安定していない場合は,外科医へのコンサルトも必要である。また,必ず心電図をモニターする。心筋梗塞を常に鑑別に入れる。

診断のチェックポイント

定義:突如として急激な腹痛が起こり,急性の経過をとる疾患の総称である。迅速な診断と緊急処置が必要とされる。

【1】病歴:既往歴を含めて,現在の状態をきちんと聴取することは急性腹症のリスクに関する重要な情報となるため,最も重要である。

❶心疾患(心房細動,心不全)や動脈硬化(末梢血管障害)のリスク

❷腹部手術歴

❸肝疾患の既往

❹糖尿病の既往

❺食事摂取の内容(新鮮な魚介類)

❻性活動(女性)

【2】身体所見:急性腹症の場合は,まず生命危機の状態であるか否かを確認することが最も重要である。

❶全身状態:血圧,脈拍,発熱の有無および呼吸状態(回数が多く,浅い場合は注意)。

❷腹部視診

腹部手術痕・腹部膨満の

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