診療支援
診断

腎・副腎の超音波診断
Ultrasonographic Diagnosis of Kidney and Adrenal Gland
辛島 尚
(高知大学准教授・泌尿器科学講座)

腎・副腎の正常像

【1】腎臓

❶腎臓は第12胸椎部の高さで脊柱の左右両側に存在し,右腎に比べて左腎が頭側に位置する。

❷成人男性の正常腎は,長径10~12cmで,約150g程度である。長軸像では,表面平滑なソラマメ型を示す。

❸内側より腎盂,腎髄質,腎皮質が存在し,腎動静脈,葉間動静脈,小葉間動静脈,弓状動静脈,細動静脈へと順に細径化する血管群が介在している。

❹超音波像で腎皮質は肝臓と同程度の低吸収の充実性構造を呈し,腎髄質錐体はそれよりも低吸収に検出される。腎盂は高吸収域としてとらえられる(図1)。

【2】副腎:右副腎は右腎の直上,左副腎は左腎上極やや内側に位置する。正常副腎は,腎皮質よりわずかに高吸収,周囲の脂肪組織より低吸収を呈する。

検査の適応

【1】腎臓:検診でのスクリーニング,先天奇形を含めた腎形態異常,動静脈奇形や瘻の血管異常,水腎症,尿路結石,囊胞や腫瘍を含めた腫瘤性病変,外傷。また,針生検や腎瘻造設などの経皮的な穿刺操作や腎部分切除術の術中超音波など手技を伴う場合にも広く用いられる。

【2】副腎:副腎皮質腺腫(原発性アルドステロン症やCushing症候群),褐色細胞腫,囊胞,出血,副腎癌。

腎・副腎の疾患

【1】腎の疾患

Bertin柱

腎柱の過形成である。発生の過程で隣接する腎錐体の間に腎皮質が入り込むことにより,画像上,腎洞内への皮質の突出として認められ,腎腫瘍として疑われることがある。

腎皮質と同程度の均一で平滑な低吸収域として認められる(図2)。

多くの腎腫瘍でみられる被膜様構造が存在せず,血流評価で腎皮質の血管と連続性を確認できる。

馬蹄腎

左右の腎臓下極が融合し,馬蹄形を呈する先天異常である(図3)。

多臓器奇形と合併してみられることがある。

正常腎臓と比較して,結石や炎症,腫瘍の発生頻度が高率とされている。

腎動静脈奇形腎動静脈瘻

動脈血と静脈血が毛細血

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