診療支援
診断

腎・副腎のCT診断
CT Diagnosis of Renal and Adrenal Disease
吉田 宗一郎
(東京医科歯科大学助教・腎泌尿器外科学)

腎・副腎の正常CT像

【1】腎臓:単純CTにて均一な組織として描写される。造影CTでは皮髄相にて皮質が造影され,排泄相にて腎盂,腎杯が描出される。

【2】右副腎:下大静脈後方で腎上極より約1~2cm頭側に,左副腎は腎静脈より頭側で腎上極前方に逆Y字型として認められる。

検査の適応

【1】腎臓:腫瘤性病変,尿路結石,腎血管性病変,先天性疾患などの形態異常,腎外傷など。

【2】副腎:腺腫・癌などの腫瘤性疾患など。

腎のCT診断

【1】充実性腫瘍

腎細胞癌()

単純CTでは等~低吸収域を示す。小径腎腫瘍は内部構造が比較的均一だが,増大とともに壊死や出血を伴い内部不均一で辺縁不整となる。

淡明細胞型腎細胞癌,乳頭状腎細胞癌,嫌色素性腎細胞癌の順に頻度が高く,鑑別には,ダイナミックCTにて腫瘍の造影効果を判定する。

淡明細胞型腎細胞癌:出血や壊死,囊胞変性などを伴うことが多く,皮髄相・腎実質相において,腎皮質と比べ同程度の強い濃染・washoutを示すhypervascularな所見を呈する(図1)。

乳頭状腎細胞癌:弱い濃染・漸増性濃染を示すhypovascularな所見を呈する。

嫌色素性腎細胞癌:淡明細胞型腎細胞癌と比較して弱い増強効果を示す。

腎オンコサイトーマ

病理組織学的にも嫌色素性腎細胞癌と類似した所見を有する良性腎腫瘤であり,鑑別が難しい。境界明瞭で均一な多血性濃染・washoutを示す。

中心瘢痕が特徴的な所見とされるが,腎細胞癌の変性も同様の所見を示すため特異的ではない(図2)。

腎血管筋脂肪腫(angiomyolipoma:AML)

豊富な脂肪を含有するclassic AMLと脂肪成分の少ないfat-poor AMLに分類される。

Classic AML:単純CTにて脂肪濃度(CT値:10HU以下)を示し低吸収である(図3)。fat-poor AML:単純CTで薄い

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