女性骨盤の正常CT・MRI像
【1】子宮体部
❶生殖可能年齢の女性において正常子宮体部はT2強調画像(T2WI)で明瞭な層構造を示す。内側から順に高信号の内膜,低信号のjunctional zone(JZ),比較的高信号の筋層である(図1a図)。
❷この層構造は月経周期に伴って変化する。子宮内膜は分泌期後期で最も厚く,最大15mmほどにもなるため,MRI撮像時に月経周期を把握することが望ましい。
❸小児や閉経後の女性では子宮体部は小さく,層構造が不明瞭であることが多い(図1b図)。
【2】子宮頸部:子宮頸部もT2WIで明瞭な層構造を示し,内側から順に高信号の頸管上皮,低信号の頸部間質,比較的高信号の筋層である(図1c図)。
【3】卵巣
❶生殖可能年齢で正常卵巣はT2WIで明瞭な高信号を示す卵胞とやや低信号を示す間質からなる(図1d図)。
❷CTでは卵胞が明瞭な囊胞状の低濃度域として描出され,造影されないため,造影剤投与後はより明瞭となる。
❸なお,卵巣の大きさは卵胞の発育状態によってダイナミックに変化する。
❹閉経後の卵巣は萎縮し,T2WIにて内部構造が不明瞭化するため,しばしば同定困難となる。
【4】子宮内膜・リンパ節など:拡散強調像(DWI)で正常な子宮内膜,リンパ節は高信号を示す。また,閉経前の卵巣間質も高信号を示し,正常卵巣の同定に有用である。
検査の適応
【1】超音波検査(US):婦人科領域の画像診断の第1選択は,簡便で無侵襲,コスト面で優れるUSである。癌が病理組織学的に確定すれば,次に進行期分類のためにCT,MRIが選択されることが多い。
【2】MRI:主に局所の評価に用いられ,子宮頸癌,子宮体癌の臨床病期分類,骨盤内腫瘤の鑑別診断における優位性が確立している。
【3】CT:子宮癌ではリンパ節転移,遠隔転移の診断,卵巣癌ではそれに加えて播種の診断にも有用である。
検査実施上の注意点
【1】磁性