診断のポイント
【1】意識なし,呼吸なし,脈拍触知なし。
【2】心室細動,無脈性心室頻拍,無脈性電気的活動,心静止のいずれかを呈する。
【3】発症時に全身性けいれんや死戦期呼吸をきたすことがある。
【4】脈拍の確認はしばしば不正確である。
緊急対応の判断基準
【1】心停止はあらゆる病態のなかで最も緊急度が高い。
【2】心停止を引き起こした原因を迅速に同定できた場合には,即座に原因に対する治療介入を行う(表1図)。
❶エコーで心タンポナーデあり:心囊ドレナージ。
❷緊張性気胸:緊急脱気・胸腔ドレナージ。
❸出血性ショック:緊急輸血。
【3】難治性心室細動,肺塞栓症,偶発性低体温症,薬物中毒など,標準的な二次救命処置で心拍再開を得ることが困難であるが,脳蘇生の可能性が高い病態では,原因治療までのブリッジとして経皮的心肺補助装置の導入を考慮する。
症候の診かた
【1】反応がなく,呼吸がないか異常な呼吸(死戦期呼吸)が認められる場合,あるいはその判断に自信がもてない場合は心停止,すなわち心肺蘇生法(cardio pulmonary resuscitation:CPR)の適応と判断する。
【2】脈拍の確認は頸動脈もしくは大腿動脈で行うが,確信をもてない場合は脈拍なしと判断する。
検査所見とその読みかた
【1】通常の血液検査(血算,生化学,凝固検査など)は,結果が判明するまで時間がかかるため,CPR中の緊急処置の判断材料にはなりにくい。
【2】動脈血液ガス分析
❶pHにてアシドーシスの程度を,PaCO2とPaCO2から酸素化と換気が有効に行われているかを把握する。
❷PaCO2とHCO3-からアシドーシスが呼吸性か代謝性か混合性かを確認する。
❸ヘモグロビン濃度で貧血の程度を確認し,電解質で高カリウム血症を,血糖値で低血糖の有無を評価する。
❹乳酸値が測定可能であれば,組織低灌流による虚血の程度を把握する。
【3】エコー(poi