診療支援
診断

化学損傷
††
Chemical Injury
上山 昌史
(中京病院・救急科部長)

診断のポイント

【1】化学損傷診断の第1は原因物質の同定にある。

【2】事業所など管理された場所での事故であれば本人・現場担当者から原因物質名,その温度・濃度,受傷機転,および洗浄の有無を聴取する。

【3】詳細が不明な場合は,化学物質容器のラベル,製品名など手がかりになる情報を収集する。

【4】事故初期には化学損傷であることがわからないこともある。警察との連携や,傷病者が複数の場合はほかの搬送先医療機関との情報共有が原因物質の同定につながることがある。

【5】酸は組織の凝固壊死により,なめし皮状の焼痂を形成する。アルカリは組織の液化壊死と蛋白変性を引き起こしながら深部へ拡散していくため,酸よりも組織損傷が強い。フェノール,石油類などの有機化合物は細胞膜の損傷により皮膚を障害する。

症候の診かた

【1】化学損傷では原因物質の同定とともに重症度を診断する必要がある。

❶気道,呼吸,循環,中枢神経のバイタルサイ

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