診療支援
診断

重症筋無力症
Myasthenia Gravis (MG)
村井 弘之
(国際医療福祉大学主任教授・脳神経内科学)

診断のポイント

【1】日内変動と易疲労性を有する骨格筋症状。

【2】アセチルコリンレセプター(AChR)抗体,筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)抗体陽性。

【3】エドロホニウム(テンシロン)試験陽性。

【4】反復刺激試験でwaning,単線維筋電図でジッターの増大。

【5】眼瞼の易疲労性試験陽性,アイスパック試験陽性。

緊急対応の判断基準

 重症筋無力症(MG)の症状が悪化して呼吸困難を生じた状態をクリーゼといい,すみやかな対応が必要である。

【1】気道確保,胃管挿入,全身管理を行う。

【2】抗コリンエステラーゼ薬が投与されていれば,これを中止し,血液浄化療法(単純血漿交換もしくは免疫吸着療法),あるいは免疫グロブリン点滴静注のいずれかを行う。

【3】そのうえで,ステロイドパルス療法を追加する。

症候の診かた

【1】眼症状

❶最も頻度の高い症候である。

❷眼瞼下垂や眼球運動障害(複視)が出現し,日内変動や易疲労性を

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