診断のポイント
【1】多くの症例が無症状であり,検診などで指摘される場合が多い。
【2】上部消化管内視鏡,上部消化管造影検査で限局性の腫瘤性病変として認識される。
【3】腹部超音波検査,CT,MRIでは胃壁と連続性のある腫瘤として認識される。
【4】超音波内視鏡検査(EUS)やCT,MRIで胃壁外の病変を除外する。
【5】胃粘膜下腫瘍(SMT)で最も頻度の高いものは消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)である。
緊急対応の判断基準
穿孔や止血困難な出血を認めた場合は,緊急手術が可能な施設に搬送する。
症候の診かた
【1】無症状のまま,検診などで偶発的に発見される場合が多い。
【2】腫瘍のサイズが大きい場合は,腹部腫瘤として触知可能な場合もあり,通過障害や穿孔を伴うと腹痛を認める。
【3】潰瘍形成を伴うと出血による吐下血を起こす。
検査所見とその読みかた
【1】上部消化管内視鏡検査・上部消化管造影検査
❶正常粘膜に覆われた半球状腫瘤として認識され(図1図),bridging foldsを認める場合がある。
❷大きさや色調,生検鉗子や造影検査の圧迫で硬さを確認することも重要である。
❸頂部の潰瘍形成や,凹凸不整,サイズの増大は悪性を示唆する所見である。
【2】超音波内視鏡検査(EUS)
❶内視鏡画像から腫瘍の主座,内部エコー像,境界の性状などの情報が得られる。
❷GISTであれば第4層(筋層)由来の境界明瞭な低エコー腫瘤として認識される。
【3】CT/MRI
❶病変全体の広がりや内部の性状,周囲組織との関係を診断することが可能である。
❷グロームス腫瘍など特異的な造影パターンを示す病変の場合は質的診断にも有用となる。
確定診断の決め手
【1】上部内視鏡・上部消化管造影所見が確認されれば確定診断となる。
【2】潰瘍を伴う場合は生検で病理学的に診断される場合もあるが,通常の内視鏡