診断のポイント
【1】青年・壮年期以上に多いとされるが,わが国では若年層と高齢層の二峰性をとっている。男女比はわが国ではやや男性に多いとされるが,世界的には男性が多いことが明確である。
【2】診断は,胆汁うっ滞型の肝機能異常と特徴的な胆管の画像所見からなされ,肝生検は一部の症例以外では必須ではない。
【3】無症状のことが多く,症状としては黄疸や腹痛などを認める。
【4】炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やCrohn病)を認めることが多い(わが国では約30%,海外では60%)。
【5】硬化性胆管炎を生じる他疾患(IgG4関連疾患,二次性硬化性胆管炎)との鑑別が重要である。
症候の診かた
【1】黄疸
❶PSCでは肝外・肝内胆管の狭窄と拡張が生じ,狭窄が高度(dominant stricture)となると閉塞機序による胆汁うっ滞のために閉塞性黄疸をきたす場合がある。
❷狭窄箇所は多数あることが多く,黄疸の責任箇所を特定できないこともある。
【2】発熱:【1】の胆管病変による狭窄のためにその病変を主座とする細菌性胆管炎を併発することがある。反復しやすく難治性の場合もある。
【3】腹痛:【2】の細菌性胆管炎に伴う場合もあるが,PSC自体にしばしば併発する炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やCrohn病)に伴う場合もある。
【4】瘙痒感:長期にわたり胆汁うっ滞が続くと頑強な瘙痒感を生じる。中枢性オピオイドが関連するとの報告もある。
【5】体重減少:PSC自体での体重減少よりも,PSCにしばしば合併する胆管癌や大腸癌,胆囊癌によることが多く注意が必要である。
検査所見とその読みかた
【1】肝機能検査
❶AST・ALTといったトランスアミナーゼよりもアルカリホスファターゼ(ALP)やγ-GTPといった胆道系酵素が上昇する。この異常はしばしば正常値を含め変動しつつ次第に増加する経過をとる。
❷胆管病変による狭窄が高度となれば総ビリルビン値も
関連リンク
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