診断のポイント
【1】通常の肝臓は湿重量の2~4%の脂質を含有しているが,異常蓄積した状態(5%以上)を脂肪肝と称している。
【2】非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは常習的なアルコール飲酒を伴わない脂肪肝を包括した総称である。
【3】NAFLDは単一の疾患ではなく,単純性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver:NAFL)から脂肪性肝炎(steatohepatitis)を含む広い疾患概念であり,肝硬変や肝癌に進展しうる非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)が含まれる。
【4】メタボリックシンドロームとの関連が密接であり,肝におけるメタボリックシンドロームの表現型とよばれている。
【5】わが国にはNAFLD患者がおよそ1,500万人いると推定され,そのうちの10~20%(約200万人)がNASHであると考えられている。
症候の診かた
【1】一般には自覚症状はほとんどない。
【2】肝腫大を伴うことがあり,右季肋部の違和感を訴えることがまれにある。
【3】BMIが25以上の特に内臓脂肪過多の肥満者に多く,女性では閉経後に発症率が上昇する。
【4】メタボリックシンドロームの診断項目である糖尿病,高血圧症,脂質異常症を伴うことが多い。
【5】NASH進展例では,肝硬変・肝癌の合併があることに注意を要する。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニング検査:血清トランスアミナーゼの上昇と腹部エコー検査による肝脂肪沈着所見が診断のきっかけとなる。
【2】血液検査
❶血清AST,ALTの軽度~中等度の上昇がみられることが多いが,基準範囲内に収まっていることもある。
❷NAFLDの背景にある糖尿病や脂質異常症のために血糖値の上昇,コレステロールおよび中性脂肪高値を示す症例が多い。
❸NASH進展例では血小板の減少,血清ヒアルロン酸やⅣ型コラーゲ
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