診断のポイント
【1】Ⅰ型AIP(表1図)
❶本邦ではI型が多い。
❷中高年齢,男性に多い。
❸腹痛は無~軽度。
❹閉塞性黄疸,糖尿病,膵外病変による症状を呈することが多い。
❺ほとんどの症例で血清IgG4上昇を認めるが,上昇しない症例も認められ,疾患特異的ではない。
❻画像所見で膵腫大,膵管狭細像を認める。
【2】Ⅱ型AIP
❶比較的若年層に多い。
❷腹痛が多く,しばしば急性膵炎を伴う。
❸潰瘍性大腸炎に合併することがある。
❹免疫検査所見は正常。
❺画像所見で膵腫大,膵管狭細像を認める。
緊急対応の判断基準
【1】閉塞性黄疸,急性胆管炎が疑われた場合は,胆道ドレナージが可能な施設に転送する。
【2】後腹膜線維症に伴う水腎症や尿路感染症が高度な場合は,高次医療機関にコンサルトする。
【3】急性膵炎を伴った場合は,膵炎に対応可能な医療機関への転送を検討する。
症候の診かた
【1】黄疸:3分の1~半数の症例で認められ,胆管狭窄に伴う閉塞性黄疸である。
【2】腹痛
❶Ⅰ型
■あってもほとんど軽度か認めないことも多い。
■急性膵炎の発症例は少数。
❷Ⅱ型:腹痛を認める症例は多く,しばしば急性膵炎を合併する。
【3】食欲不振,倦怠感:これらを契機に診断されることもあるが,画像診断で初めて膵腫大を指摘される例もある。
【4】膵外病変
❶硬化性胆管炎:黄疸,胆管炎
❷後腹膜線維症:水腎症
❸硬化性涙腺炎・唾液腺炎:口腔内乾燥,眼球乾燥
❹IgG4関連疾患については別項(→)を参照のこと。
❺Ⅱ型AIPは潰瘍性大腸炎を合併することがある。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査
❶肝胆道系酵素上昇や総ビリルビン上昇は多くの症例で認められる。
❷血清膵酵素異常は36~64%,異常高値は少ない。
❸Ⅰ型:高IgG4血症(~92%),高IgG血症(62~82%)が認められ,高γ-グロブリン血症,抗核抗体,リウマチ因子が陽性の場合もある。
❹Ⅱ型:特徴的な免疫系異常は