肺に発生する腫瘍の95%が悪性腫瘍で,そのなかで気道上皮細胞から発生する悪性腫瘍を原発性肺癌とよぶ。肺癌は組織学的に非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer:NSCLC。腺癌,扁平上皮癌,大細胞癌から成り全体の85%を占める)と気道の神経内分泌細胞由来の小細胞肺癌(small cell lung cancer:SCLC。全体の15%を占める)に分類される。
診断のポイント
男女ともに頻度的には腺癌が全体の50%と最多である。扁平上皮癌とSCLCは喫煙者に好発する。肺癌は70歳以上が65%と高齢者に多い。
【1】肺癌は咳,痰,胸痛,息切れなどの自覚症状を伴う場合と,健診で胸部異常陰影を指摘され来院する場合とがある。
【2】腺癌は胸部X線上,末梢肺に発生することが多い。また,CT上,胸膜陥入,スピキュラ,血管の巻き込みを認める以外に淡いすりガラス影として発見されることも多