診断のポイント
【1】尿細管間質性腎炎の病因は多彩である。
❶急性型
■薬剤性:薬剤に対するアレルギー性のものが大部分を占める。ペニシリン系・セフェム系抗菌薬や非ステロイド系抗炎症薬,抗癌剤が代表的であるが,すべての薬が原因となりうる。古典的3主徴として,発熱,じん麻疹,好酸球増多が知られているが,すべてを呈する患者は5~10%にすぎない。
■その他の原因:感染症や尿細管間質性腎炎ぶどう膜炎症候群(tubulointerstitial nephritis with uveitis syndrome:TINU症候群),全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)やSjögren症候群などの膠原病がある。
❷慢性型:自己免疫性,遺伝性,代謝性,閉塞性尿路疾患,慢性の環境有害物質またはある種の薬物などが挙げられる。
【2】特異的な症状はなく,血清クレアチニン値の上昇で気づかれることも多い。尿所見は軽微であることが多い。
【3】自己抗体,血清IgG濃度,血清補体価などの検査も,自己免疫性疾患などに伴う尿細管間質性腎炎の診断に有用である。
緊急対応の判断基準
腎不全が進行している場合には腎代替療法が必要となるため,透析可能な施設に移送する。
症候の診かた
【1】症状
❶急性型:急性腎障害に伴う全身倦怠感,食思不振などの非特異的症状や原疾患に関連する症状を呈することがあるが,無症候性であることも多い。
❷慢性型:多尿,夜間頻尿,口渇などの尿濃縮障害に基づく症状を認めることが多い。
【2】全身性の疾患に伴うものを疑う場合には,それぞれの疾患を念頭においた身体診察が必要である。
【3】眼症状では,痛み,発赤,羞明,視力低下など前部ぶどう膜炎の症状を認めた場合はTINU症候群を,霧視,羞明,飛蚊症など後部ぶどう膜炎の症状の場合はサルコイドーシスを疑う。
【4】サルコイドーシス
関連リンク
- 今日の診断指針 第8版/水腎症
- 臨床検査データブック 2023-2024/全身性エリテマトーデス(SLE)
- 新臨床内科学 第10版/2 急速進行性糸球体腎炎症候群
- 新臨床内科学 第10版/1 全身性エリテマトーデスに伴う腎病変
- 新臨床内科学 第10版/1 急性間質性腎炎
- 新臨床内科学 第10版/2 薬剤性間質性腎炎
- 新臨床内科学 第10版/10 全身性アミロイドーシス
- 新臨床内科学 第10版/2 抗菌薬による腎障害
- 今日の小児治療指針 第17版/急速進行性糸球体腎炎
- 今日の小児治療指針 第17版/膜性増殖性糸球体腎炎
- 今日の診断指針 第8版/薬剤性腎障害
- 今日の小児治療指針 第17版/巣状分節性糸球体硬化症