診療支援
診断

Cushing病
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Cushing's Disease
蔭山 和則
(弘前大学大学院准教授・内分泌代謝内科学講座)

診断のポイント

【1】40~60歳の中年女性。

【2】高血圧症,耐糖能異常,脂質異常症,骨粗鬆症。

症候の診かた

【1】満月様顔貌。

【2】中心性肥満または水牛様脂肪沈着:ウエスト周囲と上腕,大腿の太さを比較する。水牛様脂肪沈着は肩ではなく正中部に生じる。

【3】皮膚の伸展性赤紫色皮膚線条:幅1cm以上。

【4】皮膚の菲薄化および皮下溢血:前腕屈側の皮膚をつまんで菲薄化の有無をみる。網状に透見される毛細血管。

【5】近位筋萎縮による筋力低下。

 サブクリニカルCushing病では,上記特徴所見を認めにくい。

検査所見とその読みかた

【1】血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)とコルチゾール(同時測定)が高値~正常:採血は早朝(8~10時)に,約30分間の安静の後に行う。ACTHが抑制されていないことが,副腎性Cushing症候群との鑑別において重要である。

【2】尿中遊離コルチゾールが高値~正常:原則として24時間蓄尿した尿検体で測定する。

【3】一晩少量デキサメタゾン抑制試験(DST)

❶スクリーニング検査では,ACTH依存性のコルチゾール自律性過剰分泌を証明し,偽性Cushing症候群を除外することを目的とする。

❷スクリーニング検査としての感度を上げる目的で,0.5mgの少量が採用されている。血中コルチゾール値3μg/dL以上でサブクリニカルCushing病を疑い,5μg/dLで顕性Cushing病の可能性が高い。

❸服用している薬物,特にCYP3A4を誘導するものは,デキサメタゾンの代謝を促進するため,偽陽性となりやすい。

【4】夜間血中コルチゾール値:ストレスの影響を受けるかもしれないが,感受性が高い検査。複数日において,深夜睡眠時の血中コルチゾール値が5μg/dL以上。

【5】デスモプレシン酢酸塩水和物(DDAVP)試験:Cushing病と偽性Cushing症候群や健常人との鑑別に有用。静注後の血中

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