診療支援
診断

糖尿病
Diabetes Mellitus
植木 浩二郎
(国立国際医療研究センター研究所・糖尿病研究センター長)

診断のポイント

【1】持続的な高血糖。

【2】口渇,多飲,多尿,体重減少などの徴候。

【3】眼底所見。

【4】抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体などの自己抗体。

【5】家族歴,肥満歴。

緊急対応の判断基準

【1】意識障害や急性代謝失調を伴う高血糖状態:1型糖尿病発症期やインスリン作用不足に際してみられる糖尿病ケトアシドーシス〔高血糖≧250mg/dL,高ケトン血症,アシドーシス(pH<7.30,重炭酸塩濃度<18mEq/L)〕や2型糖尿病で感染症や手術,脱水などの際に認められる高浸透圧高血糖症候群(高血糖≧600mg/dL,高浸透圧≧320mOsm/L,pH≧7.30,重炭酸塩濃度≧18~20mEq/L)では,直ちに補液やインスリンの投与を開始する。

【2】高血糖(288mg/dL以上)にもかかわらずヘモグロビンA1c(HbA1c)が比較的低値(8.7%未満)で,ケトン体陽性の場合:劇症1型糖尿病の発症時期をみている可能性がある。急速にインスリン分泌が枯渇するので,直ちにインスリン治療を開始する必要がある。すぐに入院させインスリン治療を開始するか,専門機関を受診させる。

症候の診かた

【1】病歴

❶患者は,以下のような場合に来院する。

慢性の高血糖による症状がある場合。

腎症・網膜症などの糖尿病に特有の合併症による自覚症状や他覚所見から糖尿病を疑われる場合。

心血管病変の治療や予防に際してリスク因子の検索で糖尿病を疑われる場合。

外科手術など,他の疾患の治療に際してのスクリーニングで糖尿病を疑われる場合。

検診・健康診断などで糖尿病が疑われた場合。

❷1型や2型などの病型を決定するにあたって,以下を聴取する。

糖尿病の家族歴。

出生時体重や最大体重を含めた体重歴,また最近の体重の変化。

食事・飲酒・運動・喫煙などの生活習慣。

肝疾患・膵疾患などの併存疾患。

ステロイド薬など血糖値に影響

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