診療支援
診断

急性ポルフィリン症
††
Acute Porphyrias
大門 眞
(弘前大学大学院教授・内分泌代謝内科学講座)

 ポルフィリン症とはヘム合成経路の8つの酵素のうち,第1番目のデルタアミノレブリン酸(ALA)合成酵素(ALAS)以外の酵素の先天異常が病因で生じる疾患の総称で,光線過敏性皮膚炎を呈する皮膚ポルフィリン症と急性発作を呈する急性ポルフィリン症〔ALA脱水酵素欠損ポルフィリン症(ADP:ALAD deficiency porphyria),急性間欠性ポルフィリン症(acute intermittent porphyria:AIP),遺伝性コプロポルフィリン症(hereditary coproporphyria:HCP),多様性ポルフィリン症(variegate porphyria:VP)〕とに大別される。

診断のポイント

【1】急性ポルフィリン症発作〔1)原因不明の腹痛,2)不定の精神症状(不眠,不安など),3)原因不明の神経症状(四肢麻痺,球麻痺など)を3大症状とする発作〕。

【2】症状は,腹痛,精神症状,神経症状と経時的に変化する。

【3】ヘム合成経路の基質〔ALA,ポルホビリノゲン(PBG),ウロポルフィリン(UP),コプロポルフィリン(CP),プロトポルフィリン(PP)〕の増加より診断できる(図1)。

緊急対応の判断基準

 以下の場合,入院のうえ,ヘム製剤を使用する。電解質の補正,血圧,循環の管理を行い,球麻痺に備える。

【1】ブドウ糖補液にても腹痛が改善しない場合。

【2】神経症状を呈した場合。

症候の診かた

【1】急性腹症を思わせる腹部症状が初期にみられ,後に,ヒステリーを思わせるような精神症状を呈し,最後には四肢麻痺,球麻痺などの神経症状を呈する。

【2】腹部症状に対応する器質的な異常は認められない。

【3】病状の進行に応じて,症状が変化する。

❶症状の消失した時期(非発作時)がある。

❷HCPおよびVPでは光線過敏性皮膚炎が認められることがあるが,AIPでは認められない(陰性徴候)。

❸非

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