診療支援
診断

成人発症Still病
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Adult-Onset Still's Disease
川畑 仁人
(聖マリアンナ医科大学教授・リウマチ・膠原病・アレルギー内科)

診断のポイント

【1】発熱,関節痛,サーモンピンク疹,白血球増加,咽頭痛,肝機能異常。

【2】感染症,悪性腫瘍,他の膠原病の除外。

【3】山口の分類基準。

【4】血清フェリチン高値,血清IL-18高値。

【5】血球貪食症候群の合併。

緊急対応の判断基準

 本症の診断下に,治療抵抗性,血球減少の進行を認めた場合,血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS)の合併を疑わなければならない。この場合は緊急的に専門科のある病院での精査・加療が必要である。

症候の診かた

【1】発熱

❶短時間に39℃を超える発熱が出現し,その後平熱に戻るというspiking feverを毎日(quotidian fever)または1日2回(double-quotidian fever)繰り返す。

❷発熱は午後に現れやすく,典型的には単峰性のevening feverが特徴とされる。間欠期にも平熱まで下がらないことも20%程度の頻度でみられる。

❸発熱は1週間以上続き,数週間にわたる場合もあるが,他の疾患と比べ消耗感は少なく,解熱時には比較的元気なことが多い。

❹しばしば不明熱として扱われる。

【2】皮疹

❶典型的にはサーモンピンク色の一過性の斑状・斑丘疹状の皮疹が発熱とともに現れ,解熱時には消退することが多く瘢痕も残さない。

❷主に体幹と四肢に出現し,通常痒みを伴わない。Köbner現象陽性で,洋服が擦れる部位に出現しやすい。

❸アレルギーを有する場合があり薬疹との鑑別が問題となる場合もある。

【3】筋骨格症状

❶発症時に関節痛はほぼ全例にみられる。膝,手首,足首,肘,PIP,肩の順に多い。

❷関節炎は初期には軽度で一過性の少関節炎であるが,関節リウマチと同様の破壊性の多関節炎に移行することがある。

❸手関節の癒合強直はまれではあるが本症に特徴的な所見である。

❹筋痛も特に発熱時に出現することがあるが,筋力低下はみられ

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