診断のポイント
【1】大半が思春期~30歳台までに発症。
【2】代表的な陽性症状:幻覚(対話性幻聴,考想化声,体感幻覚),妄想(妄想気分,妄想着想,妄想知覚,関係妄想,被害妄想,誇大妄想),自我障害(考想または身体的被影響体験)。
【3】代表的な陰性症状:無為,自閉,会話の貧困,感情鈍麻。
【4】特徴的な症状:思考障害(連合弛緩),両価性。
【5】社会的機能:発症前後に顕著に低下し,その後は変動しながら慢性的に低下傾向。
緊急対応の判断基準
不安・焦燥・興奮などの急性精神病状態を呈し,以下の要件を満たす場合は,非自発入院も含めた緊急対応を考慮する必要がある。
【1】精神病症状のために判断能力が著しく低下した病態にある。
【2】この病態のために,社会生活上,自他に不利益となる事態が生じている。
【3】医学的介入なしには,この事態は遷延ないし悪化する可能性が高い。医学的介入により,この事態の改善が期待される。
症候の診かた
【1】自ら受診した場合
❶不眠,食欲低下,身体的な不定愁訴(自律神経症状を含む),不安・抑うつ症状などを主訴にすることが多い。
❷この場合,主観的な症状(病的体験)を問診することで,対話性幻聴,体感幻覚(身体的被影響体験),関係妄想,被害妄想,考想被影響体験(考想吹入,考想奪取,考想伝播),妄想気分などの陽性症状が明らかになることがある。
【2】心配する家族や職場の上司などに付き添われて受診した場合
❶まず,患者本人から主訴を確認し,主観的な症状を問診する。
❷同伴者から通常の状態との違いを明らかにする。
❸口数が減る,家族や他人を避ける,部屋に閉じこもる,外出しない,周囲の音に過敏,仕事の能率が落ちて集中できない,話にまとまりがない,独語や空笑がみられる,理由もなく興奮したりおびえたりする,奇異な言動が目立つなどの客観的症状が観察される場合は,上記陽性症状に基づく可能性があるが,しばしば病