診断のポイント
【1】65歳以上。
【2】注意や明晰さの著明な変化を伴う認知の変動。
【3】繰り返し出現する具体的な内容の幻視。
【4】パーキンソニズムの以下の症候の1つ以上:動作緩慢,寡動,静止時振戦,筋強剛。
【5】認知機能低下に先行することが多いREM睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder)。
症候の診かた
【1】認知機能障害
❶進行性に認知機能が低下し,認知症の基準を満たすことが必須となる(表1図)。
❷病初期には記憶障害が軽度である一方で,注意障害,遂行機能障害,視空間認知障害が目立ち,簡易認知機能検査では比較的高得点をとることがある。
❸Mini Mental State Examination(MMSE)では,遅延再生の項目が保持される一方で,注意(シリアル7),五角形模写の失点が目立つ。
【2】認知機能の動揺
❶注意や明晰さの著明な変化を生じ,数分~数時間,時に数週に及ぶことがある。注意,覚醒レベルの変動に関連しており,茫乎とした状態,日中の傾眠や覚醒時の混乱がしばしばみられる。
❷記憶や了解もよく,日時や病院名などの見当識が保たれており,正確に答えられるときもあれば,疎通が困難で,状況や周辺環境の把握ができないほど悪いときもある。
【3】幻視
❶反復性に現れ,比較的認知機能が保持されている病初期から出現することが多い。
❷幻視内容は,人物や小動物などの明瞭で生々しいものから人影のようにあいまいなものまである。
【4】パーキンソニズム:動作緩慢,寡動,静止時振戦,筋強剛のうち1つ以上を認め,Parkinson病に比して左右差や振戦が少ない。
【5】REM睡眠行動障害
❶夢内容に伴う精神活動が行動化を示し,四肢の動きに加えて,怒声や叫び声を伴うことが多い。
❷昔の職場でのやり取りや談笑などのように,必ずしも激しい動きばかりではないことに注意する。
❸認知症発症と同時あるい