診断のポイント
「脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン2019」では,表1図の(1)(2)の条件を満たすものを頸椎後縦靱帯骨化症としている。
【1】単純X線またはCTによる脊柱靱帯骨化(後縦靱帯骨化・黄色靱帯骨化)の確認。
【2】深部腱反射の亢進。
【3】痙性歩行。
【4】痙性手。
【5】手袋・靴下状に分布する感覚障害。
緊急対応の判断基準
【1】進行性の脊髄症。
【2】転倒などの外傷による非骨傷性頸髄損傷。
症候の診かた
【1】脊髄症状:有症状例では30~40%の症例でみられる。索路症状としての深部腱反射の亢進,痙性手,痙性歩行,四肢の感覚障害や髄節症状としての筋萎縮などがある。
【2】神経根症状:有症状例の70%の症例でみられる。靱帯骨化が存在する高位の神経根症状として,運動・感覚麻痺,自覚的なしびれ,疼痛などがある。
【3】可動域制限:骨化病巣により可動域が制限され,特に頸椎では可動域制限による運動機能障害が顕著となることがある。
検査所見とその読みかた
【1】単純X線写真(図1図)
❶頸椎後縦靱帯骨化は単純X線写真による確認が比較的容易に可能であるが,胸椎後縦靱帯骨化および胸椎黄色靱帯骨化の確認は単純X線写真では困難なことも少なくない。
❷後縦靱帯骨化は,単純X線写真所見により連続型,分節型,混合型,限局型に分類される。
❸脊髄症状の発症には靱帯骨化による静的因子のみではなく動的因子が関与しているが,単純X線写真で60%以上の脊柱管狭窄がみられた場合,全例で脊髄症状が発現していたとの報告がある。
❹単純X線写真で60%以上の脊柱管狭窄がみられる場合や骨化形態が突出型(hill-shaped)の場合,椎弓形成術の成績が不良であったとの報告がある。
【2】CT(ミエロCT)(図2図,3図):CT,特にマルチスライスCTにより単純X線写真では確認が困難な胸椎高位の骨化病巣も詳細に確認することができる。
【3】MRI(
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