診療支援
診断

腰椎椎間板ヘルニア
Lumbar Disc Herniation
山下 一太
(徳島大学大学院講師・運動機能外科学)

診断のポイント

 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドラインによる診断基準を以下に示す。

【1】腰痛が持続し,その後,殿部痛・下肢痛が出現する(主に片側,または片側優位)。

【2】下肢挙上(straight leg raising:SLR)テスト陽性(70度以下で殿部~下肢に放散痛出現)。

【3】疼痛のための前屈制限。

【4】MRIで椎間板の脊柱管内への突出,それによる神経根の圧排。

【5】症状と画像所見の一致。

緊急対応の判断基準

 急速に進行する運動麻痺や,巨大椎間板ヘルニアによる膀胱直腸障害をきたすことがある。その際は緊急手術により,椎間板ヘルニアを摘出するべきである。

症候の診かた

【1】腰背部痛が持続し,その後,突然殿部痛・下肢痛・しびれが出現する経過が多い。下肢痛は通常左右の片側に発生するが,まれに両側発生の場合がある。

【2】好発椎間高位はL4/5,ついでL5/Sである。

【3】ヘルニア発生高位により,圧排される神経根は異なる。例えば,L4/5の通常の脊柱管内への椎間板ヘルニアであれば,L5神経根障害により,下腿外側から足背の知覚障害と前脛骨筋や長母趾伸筋などの筋力低下が生じる。

【4】腰椎前屈で椎間板の内圧が上昇するため,坐位姿勢保持が困難となる。咳・くしゃみなどでも腹圧上昇し,疼痛が増強する。

検査所見とその読みかた

【1】スクリーニング検査

❶SLRテスト(図1),もしくは大腿神経伸展テスト(femoral nerve stretching test:FNST)で殿部~下肢に放散痛が出現すれば,腰椎椎間板ヘルニアを疑う。

❷SLRテストの感度は0.85,特異度は0.52であり,腰椎椎間板ヘルニアの徒手検査としては最も有用である。

【2】絞り込む検査

❶徒手筋力テスト,知覚検査,深部腱反射所見で,障害神経根の同定が可能である。

❷画像所見としては,MRIが最も有用であり,T1・T2強調画像の矢状面・水

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