診断のポイント
【1】あらゆる年齢にみられる。
【2】一過性に紅斑性皮疹(膨疹とよばれる)が多発する。
【3】かゆみを伴う。
緊急対応の判断基準
【1】血圧低下などショック症状を伴う場合,アドレナリン投与,輸液を行う。
【2】全身に及ぶ堪えがたいかゆみがある場合,抗ヒスタミン薬の静脈内投与を行う。
症候の診かた
【1】膨疹の持続時間を確認する。個々の皮疹が短時間に形が変わる,あるいは1日以内に消退することを確認する(図1図)。
【2】膨疹の形態を観察し,米粒大,地図状,環状,線状などを区分する。
【3】かゆみの程度を確認する。
【4】皮疹の出現時に誘因があるかどうかを確認する。
【5】血圧低下などショック症状の有無を確認する。
検査所見とその読みかた
【1】皮膚描記:陽性であれば機械性じん麻疹と診断する。
【2】アイスキューブテスト:陽性であれば寒冷じん麻疹と診断する。
【3】発汗誘発試験:発汗とともに小形の膨疹が誘発されれば,コリン性じん麻疹と診断する。
【4】プリックテストや食物抗原特異的IgE検査:食物抗原への感作があれば,アレルギー性じん麻疹を考慮する。
確定診断の決め手
膨疹の持続時間を確認する。個々の皮疹が短時間に形が変わる,あるいは1日以内に消退することが確認できれば,じん麻疹と診断する。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】多形滲出性紅斑(→)(図2図),多形紅斑型薬疹:じん麻疹に類似した皮疹を示すが,これらは皮疹が数日以上持続することから鑑別できる。
【2】虫刺症:浮腫性紅斑が多発するが,均一な点,数日持続して消退後に色素沈着を示す点から鑑別できる。
【3】皮膚瘙痒症:強いかゆみをきたすことからじん麻疹との鑑別を要すが,搔破痕以外にかゆみの原因となる皮疹を生じないことから鑑別できる。
確定診断がつかないとき試みること
多形滲出性紅斑や多形紅斑型薬疹,あるいはじん麻疹様血管炎はじん麻疹に類似した皮疹