診断のポイント
【1】臨床症状として境界明瞭な皮膚硬化局面,時に褐色局面,脱色素局面,萎縮局面。
【2】病初期あるいは病変部周辺では紅斑を伴う(ライラックリング)。
【3】皮下脂肪織の線維化のために病変部に陥凹を伴うこともある。
【4】重症例では筋や骨に病変が及ぶ。
緊急対応の判断基準
急速に拡大する,機能障害を残す可能性がある,整容面で大きな問題を残す場合などは積極的に全身的治療を検討し,本疾患を熟知した皮膚科専門医が担当する必要がある。
症候の診かた
【1】臨床症状:境界明瞭な皮膚硬化局面,時に褐色局面,脱色素局面,萎縮局面を確認する。
【2】通常以下の3型に分類される。
❶斑状強皮症(図1図):略円形の硬化局面で,時に病変部周辺では「ライラックリング」とよばれる紅斑を伴う。単発の場合も多発する場合もある。
❷線状強皮症(図2図):四肢または顔面・頭部に陥凹を伴った硬化局面を伴う。
■四肢の病変は左右非対称のことが多い。四肢の線状強皮症では筋萎縮,時に骨の萎縮をしばしば伴う。その場合,痛み,しびれなどの神経症状をよく伴う。
■顔面や頭部の傍正中部に生じたものを特に「剣創状強皮症」(sclérodermie en coup de sabre)とよぶ。
❸汎発性斑状強皮症(generalized morphea):斑状の硬化局面あるいは線状の硬化局面が混在し,全身に多発するものをいう。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査
❶抗核抗体が40~80%陽性となる。時に抗ssDNA抗体が陽性となり,その抗体価が病勢を反映する。
❷リウマチ因子,LE細胞や抗ミトコンドリア抗体,抗リン脂質抗体も時に陽性になる。
❸しばしば血清可溶性IL-2受容体値が上昇し,病勢を反映する。
【2】MRI:時に筋病変や骨病変を示す。
【3】脳波:頭部に硬化局面を伴う剣創状強皮症では時に脳波異常を認める。
【4】皮膚生検:診断に必要不可欠であ