本項では汎発型の膿疱性乾癬(generalized pustular psoriasis:GPP)について述べる。
診断のポイント
以下の4項目を満たす場合をGPP(確実例)と診断する。【2】と【3】を満たす場合を疑い例と診断する(項目【1】~【4】の鋭敏度は,それぞれ83%,95%,95%,87%,すべてを満たす確定診断例の鋭敏度は78%,上記【2】と【3】を満たす疑診例の鋭敏度は90%)。
【1】発熱あるいは全身倦怠感などの全身症状を伴う。
【2】全身または広範囲の潮紅皮膚面に無菌性膿疱が多発し,時に融合し膿海を形成する。
【3】病理組織学的にKogoj海綿状膿疱を特徴とする好中球性角層下膿疱を証明する。
【4】【1】~【3】の臨床的,組織学的所見を繰り返し生じる。
症候の診かた
【1】皮膚症状:紅斑,膿疱,浮腫(図1図)。
【2】全身症状・検査所見(全身性炎症の評価):GPPは全身性炎症反応症候群ととらえるべき病態であり,炎症に伴う全身性浮腫による毛細血管漏出症候群(capillary leak syndrome)や急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)をきたした場合,循環・呼吸不全が死因となる。
【3】皮膚症状,全身症状と検査所見をそれぞれ表1図のように点数化して合計し,重症度を判定する。
検査所見とその読みかた
【1】重症度判定および合併症検索に必要な臨床検査所見
❶白血球増多,核左方移動。
❷赤沈亢進,CRP陽性。
❸IgGまたはIgA上昇。
❹低蛋白血症,低カルシウム血症。
❺扁桃炎,抗ストレプトリジンO抗体(ASO)高値,その他の感染病巣の検査。
❻強直性脊椎炎を含むリウマトイド因子陰性関節炎。
❼眼病変(角結膜炎,ぶどう膜炎,虹彩炎など)。
❽肝・腎・尿所見:治療選択と二次性アミロイドーシス評価。
【2】重症と判定された患者に該当