遺伝性の魚鱗癬(非症候性および症候性)と後天性魚鱗癬がある。後天性魚鱗癬は,内臓悪性腫瘍などに併発するデルマドロームである。
診断のポイント
【1】細かい粃糠様鱗屑,大きめの葉状鱗屑(図1図),板状の過角化など病型により性状は異なるが,ほぼ全身あるいは広範囲の皮膚に過角化を認める。
【2】発症年齢:出生時あるいは新生児期発症であれば,先天性魚鱗癬である。その他の遺伝性の魚鱗癬はほとんど,小児期に発症する。成人期以降,がん好発年齢での発症例では後天性魚鱗癬を考える。
【3】水疱,びらん,紅斑の有無:水疱,びらんがみられればケラチン症性魚鱗癬が,紅斑が強いときは,先天性魚鱗癬様紅皮症(congenital ichthyosiform erythroderma:CIE)が疑われる(図2図)。
【4】家族歴:両親が血族婚であれば,常染色体劣性遺伝性,両親,祖父母に同症があれば,常染色体優性遺伝性,母方の叔