診療支援
診断

ウイルス性疣贅・尖圭コンジローマ
Viral Wart and Condyloma Acuminatum
今福 信一
(福岡大学教授・皮膚科学教室)

診断のポイント

【1】小児の指の角化性疣状丘疹(尋常性疣贅)。

【2】小児の足の蟻塚状の小局面(ミルメシア)。

【3】成人の顔面の扁平な局面(扁平疣贅)。

【4】成人の包皮,環状溝,陰唇の鶏冠状小丘疹(尖圭コンジローマ)。

症候の診かた

 ウイルス性疣贅は,ヒトパピローマウイルス(HPV)の表皮または粘膜上皮への感染による表皮の増殖が本態で,表面がギザギザと尖った疣状,乳頭腫状あるいは鶏冠状(図1)の丘疹,あるいは小結節,表面が蟻塚状の平坦な局面(図2)が特徴である。いずれも自覚症状はない。特徴的な臨床像と好発齢,好発部位から診断する。

【1】尋常性疣贅:小児に多発し,主に手足に表面疣状の丘疹,結節となる。徐々に増数,個疹も増大する。

【2】扁平疣贅:思春期から成人の女性の顔に多数好発する半米粒大までの常色から褐色の角化の少ない扁平な隆起を伴う病変である(図3)。

【3】尖圭コンジローマ:男性の包皮,環状溝,女性の大陰唇,小陰唇,肛囲に好発する鶏冠状の先の尖った丘疹が列序性に多発する性行為感染症である(図4)。

検査所見とその読みかた

 視診が中心であるが,診断が不明の場合は生検による病理組織所見が決め手となる。

【1】病理像は表皮細胞が肥厚して,顆粒層にウイルス性封入体を混じる細胞koilocytosisがみられる。

【2】免疫組織化学染色ではHPV抗原が陽性となる。

確定診断の決め手

【1】好発齢,好発部位に生じる典型的な臨床像で診断する。

【2】尖圭コンジローマは性行為やその類似行為で感染するので,その詳しい病歴が診断の決め手となる。

【3】疑わしく,確定診断が必要なときは皮膚科を紹介する。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

 角化性の丘疹,小丘疹が多発する疾患が鑑別となる。

【1】鶏眼(いわゆるウオノメ)

❶足底の荷重部,特に中足骨頭の部分に多い。

❷中心に点状の角質がみられ,蟻塚状の病変にならない。

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