診療支援
診断

皮膚カンジダ症
Cutaneous Candidiasis
常深 祐一郎
(埼玉医科大学教授・皮膚科)

診断のポイント

【1】間擦部やおむつ部など湿度の高い部位。

【2】浸軟した膜状の鱗屑。

【3】衛星病巣。

症候の診かた

 鼠径や腋窩などの間擦部や指間,爪溝や爪甲下など湿度が高くなる部位に浸軟した鱗屑や小水疱,膿疱などを伴った紅斑を生じる。

【1】カンジダ性間擦疹

❶腋窩や鼠径,陰股部,乳房下などの間擦部に浸軟,紅斑,びらん,膜様の鱗屑,角層下膿疱を生じ,周囲に小紅斑や小膿疱などの衛星病巣を伴う(図1)。

❷乳児寄生菌性紅斑はおむつ部に生じたカンジダ性間擦疹である。

【2】カンジダ性指趾間びらん症:指間が浸軟し,鱗屑やびらんを形成する。

【3】カンジダ性爪囲炎

❶爪溝を中心に爪囲に紅斑や発赤,鱗屑,膿瘍を生じる。

❷爪甲剝離がみられることもある。

【4】爪カンジダ症

❶爪甲実質へのカンジダの感染であり,臨床像は爪白癬と酷似する。

❷この病型だけ湿潤しない。

【5】カンジダ性口角びらん:口角部に浸軟,鱗屑,びらん・亀裂,白苔を生じる。

【6】口腔カンジダ症:口腔粘膜や舌に白苔を生じる。

【7】カンジダ性亀頭・包皮炎

❶冠状溝を中心に亀頭や包皮に紅斑,浸軟,小丘疹,小水疱・膿疱,白苔,びらんがみられる。

❷女性の外陰カンジダ症も同様である。

検査所見とその読みかた

【1】類似する疾患が多いため,病変部にカンジダを証明することが必須である。

❶常在真菌であるため,真菌培養で検出されても常在真菌として検出しただけなのか,原因となっている菌であるかの区別はできない。

❷常在真菌として存在している際には胞子のみであるが,病原真菌として増殖しているときには仮性菌糸がみられるので,直接鏡検で仮性菌糸の存在を確認する。

【2】膜様の浸軟した鱗屑や膿疱,白苔,混濁した爪甲を検体とする。

確定診断の決め手

【1】臨床像。

【2】鏡検所見。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】湿疹():鏡検が陰性。

【2】白癬()

❶鏡検で菌糸や直線状に並ぶ分節胞子

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