診断のポイント
【1】青壮年の男性に多い。
【2】皮脂腺の分泌が活発な胸部,背部に多い。
【3】発汗が多く,気温の高い夏に発症する。
【4】ステロイド薬や免疫抑制薬を内服している場合や,免疫不全状態で発生しやすい。
【5】直接鏡検でマラセチア真菌の菌要素が観察される。
症候の診かた
【1】癜風
❶円形から類円形の淡褐色斑が毛孔一致性に多発,次第に融合して不規則まだら状の局面を形成する。細かい鱗屑を伴う(図1図)。
❷自覚症状はないことが多い。
❸発赤を伴うことや逆に脱色素斑になることもある。
【2】マラセチア毛包炎
❶毛孔一致性の紅褐色丘疹,膿疱が孤立性に多発する(図2図)。
❷面皰はない。
❸ステロイド痤瘡に似る。
検査所見とその読みかた
【1】鱗屑からの直接鏡検
❶癜風では短い菌糸形が優勢に観察される(図3図)。
❷マラセチア毛包炎では膿疱内に酵母形が観察される。酵母形は油滴と鑑別しにくいのでメチレンブルーなどで染色(図3図)したほうが見やすい。
【2】培養検査:脂質要求性の真菌なので一般培地では培養できない。常在性真菌でもあるので治療目的では培養しない。
確定診断の決め手
直接鏡検でマラセチアの菌要素を検出すること。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】湿疹・皮膚炎(→):癜風では毛孔中心性の病変で,直接鏡検が陽性である。
【2】乾癬(→):乾癬の鱗屑は雲母状で大きく,直接鏡検陰性。
【3】痤瘡
❶痤瘡では面皰があり,顔面主体の病変。アクネ菌が陽性となる。
❷時にマラセチアも混在していることがある。ステロイド痤瘡ではマラセチアが陽性のことがある。
確定診断がつかないとき試みること
【1】直接鏡検を繰り返す。
【2】直接鏡検が陰性の場合や,どうしても検査が実施できない場合には,診断的治療として抗真菌外用薬や抗菌薬入りの石けんの使用を検討する。
合併症・続発症の診断
健常な青壮年男性に発症することが多いが,時に免疫不全状態でも
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