診断のポイント
【1】高齢者に多い。
【2】眼瞼発赤,腫脹を認める。
【3】眼脂を伴う。
【4】原因によっては,発疹,硬結を伴う。
緊急対応の判断基準
【1】流行性角結膜炎による眼瞼腫脹を疑えば,感染予防,他の患者との隔離が必要。
【2】繰り返す霰粒腫で脂腺癌を疑えば,必ず眼科へ転送。
症候の診かた
【1】発赤・発疹:発赤が眼瞼縁に限局しているか,眼窩部に沿っているか,また,発疹の有無と性状を観察する。
【2】硬結の有無:硬結の有無を視診と触診で確認する。
【3】痛みの有無:触診にて圧痛か無痛かを確認する。
【4】眼脂の有無:眼脂の有無を視診,問診にて確認する。睫毛についたカラレット(ふけ状沈着物)も確認する。
【5】発熱の有無:全身的な炎症所見のチェックを行う。
【6】結膜炎の有無:眼瞼皮膚のみに限局したものか,結膜も含まれる病態かを鑑別する。
検査所見とその読みかた
【1】肉眼による観察とともに,細隙灯顕微鏡による観察を行う。
【2】眼脂を伴う場合は培養,塗抹鏡検を行う。
【3】眼瞼結膜囊には常在菌が存在するので,いずれの検査においても病的意義の解釈に注意する。
【4】アレルギー性は涙液IgE検出キットが,ヘルペス性は抗原検出キットが,それぞれ有用。
【5】眼窩部疾患ではCT,MRIを精査する。
確定診断の決め手
種々の原因があり,以下の点を診断の決め手とする。
【1】麦粒腫
❶発赤した限局性の硬結。
❷同部のマイボーム腺開口部に膿を認める。
❸硬結は圧痛を伴う。
❹皮膚側に自壊もある。
【2】霰粒腫(図1図)
❶発赤を伴わない限局性の硬結。
❷同部位のマイボーム腺開口部に閉塞を認める。
❸圧痛はなく,繰り返す傾向にある。
❹2次感染を生じると麦粒腫との鑑別が困難。
❺若年者に多い。
【3】ブドウ球菌性眼瞼炎(図2図)
❶高齢者に多いブドウ球菌による慢性眼瞼炎である。
❷メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),メチシリン耐性表皮ブドウ球