診断のポイント
【1】両眼性の著明な充血,漿液性の眼脂,眼痛を伴う結膜炎。
【2】片眼に発症後,数日を経てもう片眼に発症。
【3】家族内発症あり。
【4】学校・職場において発症あり。
症候の診かた
【1】結膜充血
❶眼瞼結膜・眼球結膜に著明な充血を認める。
❷詳細な観察にて結膜濾胞ならびに結膜出血を認める(図1図)。
【2】眼脂
❶眼脂は漿液性であり,黄色膿性の眼脂は細菌性結膜炎もしくは細菌感染の合併を疑う。
❷重症例では特に上眼瞼結膜に白色の膜状物である偽膜を生じる。
【3】リンパ節腫脹:耳前もしくは顎下リンパ節の腫脹をしばしば併発する。
【4】眼外症状として咽頭炎,発熱,血尿,腹痛,下痢などを伴うが,これらの症状がそろわないことも多い。
検査所見とその読みかた
【1】アデノウイルスキット(イムノクロマト法)
❶アデノチェック®,キャピリア® アデノ アイなどがある。
❷点眼麻酔を行い,綿棒で結膜を擦過し,採取した検体を数滴使用して判定する。
❸感度は75%であるが特異度は100%であるため,陽性であればアデノウイルス結膜炎の確定診断となる。
【2】涙液を検体とするイムノクロマト法を用いたキットや銀増感法のデンシトメトリーを用いたキット(クイックチェイサー®Auto Adeno)が最近販売されており,感度は約90%である。
確定診断の決め手
【1】両眼性(左右の発症に時間差あり)の著明な結膜充血。
【2】アデノウイルスキット(イムノクロマト法)陽性。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】アレルギー性結膜炎・春季カタル
❶強い瘙痒感。
❷結膜乳頭増殖。
❸アレルギーの既往ならびに季節性に発症。
【2】細菌性結膜炎
❶黄色膿性眼脂。
❷濾胞形成なし。
【3】クラミジア結膜炎
❶下眼瞼結膜に融合した巨大濾胞。
❷片眼性が多い。
❸結膜擦過物のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い,クラミジアを確認。
【4】ヘルペス性結膜炎
❶片眼性。
❷眼瞼皮疹