診断のポイント
【1】突然の視野異常。
【2】片眼性。
【3】40歳以上。
【4】眼痛は伴わない。
緊急対応の判断基準
【1】視野異常部位の見え方が,白く,あるいは黒く抜けて見える場合はRAOが考えられ,30分ほどで自然回復しない場合は網膜硝子体疾患専門施設への診療を依頼する。なお,両眼性の同側の視野異常は中枢での障害であり,脳梗塞や脳出血の可能性も否定できない。
【2】RAOに対しては,高圧酸素療法,眼圧下降療法などで対応するが,閉塞による虚血範囲が大きいほど予後は期待できない。
症候の診かた
【1】RAOもRVOも網膜血流の途絶であるので,発症は突然であり,片眼性であることが最大の特徴である。発症に伴う痛みはない。
【2】視野の異常
❶閉塞の部位によって症状は異なるが,閉塞による網膜の虚血によって,該当部位の視野感度の低下をきたす。
❷RAOでは虚血によって著明に視野感度が低下する。
❸RVOではうっ血によって歪みなどの視野異常を自覚する。
【3】閉塞の程度にもよるが,網膜の中心部(黄斑部)を回避している場合,視力そのものは低下せず,気がつかないことさえある。
【4】RAOでは動脈硬化と,RVOでは高血圧との関連性が指摘されている。
検査所見とその読みかた
【1】眼底写真
❶RAO:虚血部位が蒼白になる(図1a図)。
■特に中心動脈が閉塞する網膜中心動脈閉塞症(central retinal artery occlusion:CRAO)では,相対的に中心窩がピンク色となる,いわゆるcherry red spotを呈するが,臨床的にはっきり見えないこともある。
■網膜動脈分枝が閉塞する網膜動脈分枝閉塞症(branch retinal artery occlusion:BRAO)でも,閉塞部位がわかりにくいことが多い。
❷RVO
■閉塞部位がうっ血によって火焔状に出血が認められる(図1b図)。
■網膜中心静脈閉塞症(c
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