診断のポイント
【1】年齢分布は20歳台と50歳台にピークをもつ二峰性を示す。
【2】飛蚊症,光視症,視野欠損,視力低下,変視症などの自覚症状がある。
【3】危険因子として,1)中等度の近視眼,2)白内障・緑内障などの眼内手術既往歴を有する,3)眼球外傷,4)眼底検査で網膜変性部位を有する,5)アトピー性皮膚炎を有することが挙げられる。
症候の診かた
【1】飛蚊症,光視症:後部硝子体剝離に伴う典型的な裂孔原性網膜剝離の前駆症状とする。
【2】視野欠損:網膜剝離の発生部位に一致して自覚する。問診することで,原因裂孔の位置推定に役立つ。
【3】視力低下,変視症:網膜剝離が黄斑部に及べば,変視症を伴いながら視力低下する。
検査所見とその読みかた
【1】眼底検査
❶倒像鏡もしくは前置レンズや三面鏡を用いた細隙灯顕微鏡検査により原因裂孔の検出と剝離網膜の確認を行う。
❷同時に裂孔の数,性状,位置,大きさ,剝離網膜の範囲,高さと裂孔の位置関係,裂孔と硝子体の癒着と牽引の程度を評価する(図1図)。
【2】細隙灯顕微鏡を用いた検査:硝子体の観察を行い,後部硝子体剝離の有無,硝子体に浮遊する網膜色素細胞の有無と程度を確認する。
確定診断の決め手
【1】裂孔原性網膜剝離の診断には,網膜裂孔を検出することが必須である。
【2】網膜裂孔を伴わない滲出性網膜剝離の否定。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】Vogt-小柳-原田病:夕焼け状眼底と滲出性網膜剝離を認める。
【2】網膜血管:腫瘍性病変と滲出性病変と滲出性網膜剝離を認める。
【3】増殖糖尿病網膜症:線維性血管膜による牽引性網膜剝離を認める。
確定診断がつかないとき試みること
【1】網膜裂孔を伴わない滲出性網膜剝離との鑑別には,患者を体位変換させて網膜下液の可動性を確認すると同時に蛍光眼底造影検査を行い,造影剤の漏出の有無を調べる。
【2】腫瘍性疾患ではBモードによる超音波検査,C