診断のポイント
【1】眼内の隆起性病変はすべて眼底画像検査を行う。
【2】悪性腫瘍の既往歴は必ず聴取する。
【3】小児の白色瞳孔や斜視は,網膜芽細胞腫の除外から行う。
【4】眼底の色素性病変は,ぶどう膜悪性黒色腫の除外から行う。
【5】ぶどう膜炎は,網膜硝子体リンパ腫の除外から行う。
症候の診かた
【1】問診:成人の腫瘍では,視力低下・視野欠損・飛蚊感が腫瘍自体もしくは網膜剝離や出血により出現する。
【2】視診:白色瞳孔(眼底に網膜芽細胞腫などの白い病変や広範な網膜剝離による),外斜視(視力低下による),直接対光反射の減弱(視力低下による),結膜充血(続発緑内障や眼球外浸潤による)。
検査所見とその読みかた
【1】眼科一般検査
❶視力,眼圧とともに,眼底検査が最も大切である。
❷散瞳検査をあまり行わないコンタクトレンズクリニックにおいても,広角眼底カメラを活用する。
【2】超音波断層検査
❶網膜芽細胞腫の75%に石灰化が生じるので,石灰化の検出は網膜芽細胞腫の診断に有用である。
❷眼底のマッシュルーム状腫瘍と内部低反射は脈絡膜悪性黒色腫の特徴であるが,ドーム状腫瘍が高頻度でみられる。
【3】蛍光眼底造影
❶栄養血管の同定や,網膜障害の程度などをみるために,蛍光眼底造影を施行する。
❷網膜芽細胞腫は網膜血管により栄養される。脈絡膜悪性黒色腫では脈絡膜血管の拡張・増生がみられる。
❸網膜硝子体リンパ腫は,30%の例で特徴的な黄白色の網膜色素上皮下病変が生じ,栄養血管はない。
【4】放射線学的検査
❶CT/MRIなどにより眼内腫瘤を検出する(網膜硝子体悪性リンパ腫の眼内病変は検出不可であるが,中枢神経系の併発病変検出には造影検査が有用)。
❷全身造影CTもしくはFDG-PET検査により臨床病期を確定する。
❸ぶどう膜悪性黒色腫のMRIでは,メラニンはT1強調高信号,T2強調低信号を呈す。
確定診断の決め手
【1】典型例は,眼底検