診療支援
診断

鼻アレルギー
Allergic Rhinitis
黒野 祐一
(鹿児島大学大学院教授・耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)

診断のポイント

【1】家族歴にアトピー性疾患。

【2】くしゃみ,水様性鼻漏,鼻閉

【3】鼻汁好酸球検査が陽性。

【4】皮膚テストが陽性。

【5】血清特異的IgE抗体検査が陽性。

緊急対応の判断基準

【1】皮膚テストあるいは皮下免疫療法時に注射部位の腫脹が著明なときは,注射部位より中枢側を駆血帯で縛り,バイタルサインを確認し,アナフィラキシーが疑われたら,アドレナリンの筋肉注射などを行う。

【2】舌下免疫療法を自宅で行った際に何らかの全身性の異常が生じたとの連絡を受けたら,登録してある最寄りの緊急搬送先医療機関への受診を指示する。

症候の診かた

【1】病歴:通年性アレルギー性鼻炎は幼小児期から症状があり,アトピー性疾患の家族歴があることが多い。

【2】好発時期:季節性アレルギー性鼻炎はその季節にのみ症状を認める。通年性アレルギー性鼻炎の症状も季節変動があり,季節の変わり目に増悪する。

【3】全身症状:上気道感染症とは異なり,発熱や頭痛,咽頭痛,咳嗽などを伴わない。

【4】鼻汁:水様性で粘性や膿性ではない。

【5】鼻粘膜の色調:通年性アレルギー性鼻炎では鼻粘膜が蒼白で浮腫性に腫脹し,花粉症では発赤・腫脹する。

検査所見とその読みかた

【1】鼻汁好酸球検査:鼻アレルギーで著明に増加するが,好酸球増多性鼻炎やウイルス感染症でも陽性となる。

【2】皮膚テスト:感度が高いが擬陽性がある。

【3】血清特異的IgE抗体検査:特異度は高い。

【4】副鼻腔X線写真:副鼻腔炎との鑑別に有用であるが,鼻アレルギーでも軽度の陰影を認める。

確定診断の決め手

【1】発作性・反復性の鼻症状。

【2】鼻内所見や副鼻腔X線写真による副鼻腔炎の否定。

【3】特徴的な鼻症状があり,鼻汁好酸球検査,皮膚テストもしくは血清特異的IgE抗体検査が陽性。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】好酸球増多性鼻炎:鼻汁好酸球は増加するが,皮膚テストあるいは血清特異的I

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?