診断のポイント
【1】急性副鼻腔炎あるいは慢性副鼻腔炎は,各年齢層に起こる。
【2】自覚症状:急性副鼻腔炎では,疼痛(頰部痛や前頭部痛),鼻閉,膿性鼻漏を,慢性副鼻腔炎では,3か月以上継続する粘膿性鼻漏,鼻閉,後鼻漏,嗅覚障害などを認める。
【3】鼻鏡所見:急性では,膿性鼻漏や鼻粘膜の発赤・腫脹を認め,慢性では粘膿性鼻漏,鼻茸,後鼻漏を認める。
【4】画像所見:鼻単純X線検査あるいは鼻副鼻腔CTにて副鼻腔に陰影を認める。
【5】「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版(追補版)」に重症度分類が定められている。
緊急対応の判断基準
【1】急性副鼻腔炎が重症化すると鼻性眼窩内合併症や頭蓋内合併症をきたすことがある。
【2】特に,幼小児例での眼窩内や頭蓋内への波及や感染抵抗性の減弱した高齢者の侵襲型副鼻腔真菌症例においては,緊急手術の適応となるので,留意する。
症候の診かた
【1】急性副鼻腔炎:ほとんどが急性上気道炎の罹患後に,鼻閉,膿性鼻漏,後鼻漏,顔面痛(頰部痛や前頭部痛など),発熱などの症状を訴えて患者が受診する。
【2】慢性副鼻腔炎:3か月以上継続する鼻閉,粘膿性鼻漏,後鼻漏,嗅覚障害などを患者が自覚して受診することが多い。
検査所見とその読みかた
【1】急性副鼻腔炎
❶前鼻鏡所見で,粘膿性鼻漏を中鼻道に認める。
❷粘膜の発赤や腫脹を認める。
【2】慢性副鼻腔炎:急性と同様で,前鼻鏡所見や鼻咽腔ファイバースコープで,中鼻道の粘膿性鼻漏の状況や鼻茸形成の状況を確認する。
確定診断の決め手
【1】急性副鼻腔炎
❶症状と鼻単純X線撮影あるいは鼻副鼻腔CT画像により診断は容易である。
❷急性鼻副鼻腔炎スコアリングシステムを用いて重症度分類を行い,重症度に基づいた抗菌薬治療の選択を行う。
【2】慢性副鼻腔炎:3か月以上鼻症状が継続していること,鼻局所所見での粘膿性鼻漏や鼻茸の存在(図1図),CTによる画像診断(図2図)