診断のポイント
【1】発熱を伴う咽頭痛・嚥下痛。
【2】喉頭蓋の発赤・腫脹の確認。
【3】含み声。
【4】吸気性喘鳴。
【5】喫煙歴のある成人男性に多い。
緊急対応の判断基準
【1】吸気性喘鳴がある場合:急激に進行する呼吸困難に対処するため,気管切開または気管挿管など,気道確保の準備が必要。
【2】喉頭蓋腫脹に加えて,両側披裂喉頭蓋ヒダの腫脹がある場合:気道確保が必要。
【3】呼吸困難が高度な場合:緊急措置として輪状甲状間膜切開による緊急気道確保を考慮する。
【4】移送を行う場合:最小限必要な処置として酸素投与と,可能であれば喉頭浮腫の軽減を目的に副腎皮質ステロイドの投与を行う。呼吸困難が生じた場合には移送中であっても,気道確保に努める。
症候の診かた
【1】発熱・咽頭痛・嚥下痛が主訴の場合,口蓋扁桃炎などの咽頭炎や本疾患を疑う。
【2】吸気性喘鳴と含み声の有無を確認する。
【3】喉頭蓋の発赤・腫脹を喉頭内視鏡で確認する。
【4】小児の急性声門下喉頭炎は鑑別を要するが,犬吠様咳嗽が特徴であり,喉頭内視鏡検査で鑑別する。
検査所見とその読みかた
咽喉頭痛・嚥下痛が主訴で,口腔内の視診で咽頭に異常がない場合は本疾患を疑う。
【1】喉頭内視鏡検査
❶喉頭蓋の発赤・腫脹(図1図の※)を喉頭内視鏡で確認し,両側披裂喉頭蓋ヒダの腫脹(図1図の矢印)があれば,気道確保の準備を急ぐ。
❷小児では仰臥位ではなく,坐位での喉頭内視鏡検査を行うが,啼泣による呼吸困難の悪化や喉頭内視鏡の刺激による喉頭けいれんの誘発に注意する。
【2】頸部単純X線写真:喉頭蓋の腫脹(図2図の矢印)を示すthumb signを確認することができる。喉頭内視鏡検査ができない診療所では有用な検査である。
【3】原因として喉頭蓋囊胞や魚骨などの咽頭異物の有無を喉頭内視鏡検査で確認する。
【4】血液検査:末梢血白血球数やCRPが高値であれば気道確保の必要性が高い場合も