診断のポイント
【1】血尿(無症候性肉眼的血尿,顕微鏡的血尿)。
【2】膀胱刺激症状。
【3】喫煙歴。
【4】超音波検査による膀胱腔内に突出する腫瘤影。
【5】尿細胞診陽性。
緊急対応の判断基準
【1】膀胱タンポナーデ:膀胱内に大量の凝血塊が溜まり尿閉状態となった場合,膀胱洗浄あるいは経尿道的膀胱止血術が必要となるので,泌尿器科専門医のいる施設に転送する。
【2】腎後性腎不全
❶大きな腫瘍によって両側尿管口が閉塞すると腎後性腎不全となる。
❷血清クレアチニン値の著明な上昇と超音波検査で両側水腎症を認めた場合には,泌尿器科専門医のいる施設に転送し腎瘻造設術などを行う。
症候の診かた
【1】血尿
❶最も一般的な症状で,肉眼的血尿と顕微鏡で尿沈渣をみて発見される顕微鏡的血尿とがある。
❷血尿を認める場合10~30%で膀胱癌がみつかる。
【2】膀胱刺激症状:頻尿,排尿するときに痛みがあるなど膀胱炎のような症状がなかなか改善しない場合には,膀胱癌を疑う必要がある。
検査所見とその読みかた
【1】尿細胞診
❶尿中に排出される尿路上皮剝離細胞の異型度を診断する方法である。
❷高分化な筋層非浸潤癌の検出能は低いこともあり,感度は40%程度である。
❸一方特異度は高く90~100%と報告されている。
【2】尿中NMP-22:膀胱癌の新規分子マーカーで,感度は60~70%と尿細胞診より高いが,特異度はやや低い。
【3】造影CT
❶筋層浸潤の有無,リンパ節転移や遠隔転移の診断に有用である。
❷膀胱癌を疑った場合には,上部尿路癌(腎盂癌,尿管癌)の除外は必須であり,鑑別診断に排泄相の造影CTが有用である(図1図)。
確定診断の決め手
【1】膀胱鏡検査による腫瘍の確認(図2図)。
【2】経尿道的膀胱腫瘍切除術(transurethral resection of bladder tumor:TURBT)により病理学的に膀胱癌と確定する。筋層非浸潤性膀胱
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