診断のポイント
【1】原因不明の膀胱痛・頻尿・尿意切迫感。
【2】繰り返す膀胱炎。
【3】治療抵抗性で6週間以上続く症状。
【4】膀胱鏡によるHunner病変の確認。
【5】国際的にコンセンサスの得られた診断基準はない。
症候の診かた
【1】膀胱痛:尿がたまってくると痛みや不快感が生じる。
【2】頻尿:膀胱が充満する前に(痛まないように)排尿すると頻尿だけを訴える。
【3】尿意切迫感:カリウムの多いトマト,バナナ,グレープフルーツジュースなどを摂取して尿排泄カリウムが増加すると尿意切迫感,膀胱痛が生じる。
【4】難治性過活動膀胱として治療を受けている。
検査所見とその読みかた
【1】排尿日誌
❶1回排尿量が150mLを下回る。
❷夜間や早朝に膀胱痛が増強する。
【2】膀胱鏡検査
❶十分な麻酔:膀胱痛が主訴となる疾患なので膀胱鏡検査の除痛は一番大切である。
■膀胱内に4%リドカインを充塡し膀胱痛をコントロールして行うことも可能である。
■4%リドカインの膀胱注入の長所は,膀胱上皮の異常(透過性の亢進)で局所麻酔薬が病因部位にしみ込み膀胱が痛いかどうか(bladder centric)がわかるところである。
❷よく観察:痛みの局在があるときはその方向の膀胱粘膜をよく観察する必要がある。
■正常の膀胱粘膜は白色でほとんど血管を確認できず,しわしわの状態である(図1図)。間質性膀胱炎の場合,しわはなく,血管が多い(図2図)。
■発赤粘膜はなれてくれば白色光でも確認できる。一方,NBI(narrow band imaging)では膀胱上皮の新生血管を簡単に見分けられる。表面は褐色,深部は緑色である(図3図)。Hunner病変は新生血管の集簇として認識される(図4図)。
確定診断の決め手
NBIで膀胱上皮に新生血管の集簇を確認:NBIは表面の血管を褐色化するフィルターをもっており,Hunner病変を確認しやすい(図3図)。