診断のポイント
【1】不正性器出血。
【2】月経不順あるいはその既往。
【3】Lynch症候群〔遺伝性非ポリポーシス大腸癌(hereditary non-polyposis colorectal cancer:HNPCC)〕を疑う家族歴。
【4】経腟超音波断層法で子宮内膜が肥厚。
【5】子宮内膜細胞診疑陽性あるいは陽性。
症候の診かた
【1】不正性器出血
❶初期から現れることが多く,90%の患者に認められる。
❷月経不順や更年期に伴う月経異常と勘違いしている患者が少なくない。
【2】月経不順
❶プロゲステロンによる拮抗作用を受けない状態でのエストロゲン作用が子宮体癌発症要因の1つであり,この場合月経不順となる。
❷特に30歳以降の場合,要注意。
【3】家族歴:大腸,子宮内膜,卵巣,胃,小腸,肝胆道系,腎盂・尿管などの癌患者が家系に集積している場合,Lynch症候群を疑う。
検査所見とその読みかた
【1】経腟超音波断層法:子宮内膜は矢状断長軸像を描出し,最も厚い部分が閉経前は15mm以上,閉経後は5mm以上の場合には子宮体癌を疑う(図1図)。
【2】子宮内膜細胞診
❶疑陽性ないし陽性の場合,子宮内膜組織診を行う。
❷子宮体癌の患者でも10%前後が偽陰性となるため,子宮からの不正出血を繰り返す場合には再検査を行う。
❸内膜細胞の採取が困難な場合,婦人科腫瘍専門医がいる医療機関に紹介する。
確定診断の決め手
子宮内膜組織診で病理学的に癌と診断され,転移性でなければ確定診断となる。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】異型ポリープ状腺筋腫(atypical polypoid adenomyoma:APAM):APAMは病理学的にも診断が容易ではない。子宮体癌の病理診断でも下記❶~❸がそろった場合,APAMの可能性がないか病理医に再確認し,必要であれば婦人科分野が得意な病理医へのコンサルトを考慮する。
❶生殖年齢に多い。
❷子