診断のポイント
【1】20~50歳台の生殖年齢の女性にみられる。
【2】年齢とともに罹患率,有症状の割合が上昇する。
【3】過多月経,過長月経がある。
【4】初経が早い,体重およびBMIが高い。
緊急対応の判断基準
【1】慢性的な貧血に過多月経が続いた場合,あるいは筋腫分娩によって止血が得られない場合に輸血や緊急処置を要することがある。
【2】筋腫の圧迫により尿閉をきたす場合は早期治療を要する。
症候の診かた
【1】過多月経・過長月経:子宮筋腫が子宮を伸展させることで子宮内膜の表面積が増加することや,子宮収縮による止血作用が妨害されることによって引き起こされる。
【2】不妊・不育症
❶子宮内腔への筋腫の突出および内腔の変形は着床障害の原因となりうる。
❷卵管の伸展,圧迫も影響を与えている可能性がある。
【3】妊娠中の諸症状:妊娠中に筋腫は増大,変性することがあり,腹痛や異常分娩の原因となることがある。
検査所見とその読みかた
【1】内診:子宮筋腫は一般的に弾性硬に触知され,大きさ,可動性,圧痛の有無を確認するが,小さい筋腫の検出は困難である。
【2】経腟超音波検査
❶低エコーを呈する境界明瞭な類円形の腫瘤として描出される。
❷筋腫変性により石灰化所見や高エコーを呈することがある。
❸低侵襲で5mm程度から検出可能である。
【3】MRI:境界明瞭な類円形の充実性腫瘤として,T1およびT2強調画像でともに低信号に描出される。
確定診断の決め手
【1】頻度が高く,経腟超音波検査でおおむね診断可能である。
【2】詳細な位置関係の把握,他疾患の除外にはMRIを用いる。
【3】確定診断は病理組織診断で行う。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】子宮腺筋症
❶増強する月経痛を主訴とする。
❷超音波,MRIで境界不明瞭な腫瘤として描出される。
❸T2強調画像で腫瘤内部に点状の高信号が散在する。
【2】子宮体癌(→)
❶少量持続する不正性器出血を主