診断のポイント
【1】婦人科を受診するきっかけは思春期における月経の未発来が多い。ただし,出生時に非典型的外陰部所見のある場合,小児科などですでに診断される。
【2】類似する身体所見を示す多種疾患の系統的鑑別が重要。
【3】46XX以外に,性染色体異数性のある場合(Turner症候群),また,身体的・社会的性別と異なる性染色体をもつ場合(XY female)が含まれる。
【4】身体所見はさまざまなため,予見をもたずに診察や必要な検査を遂行する。また染色体検査は,診断上不可欠である。
【5】多様な患者1人ひとりの利益を考慮した診断とカウンセリングが必要で,特に将来の生殖可能性につき慎重に情報を提供する。
症候の診かた
【1】原発性無月経
❶性腺形成不全がある場合はほぼ必発で,多くの場合,受診の動機となる。
❷腟閉鎖や子宮腟欠損症(Mayer-Rokitansky-Küster-Hauser症候群で機能性子宮がある場合など)では潜伏月経を伴う例があるため,定期的な腹痛の有無を聴取する。この場合,基礎体温記録を指示すると二相性を示す。
❸モザイクのTurner女性では,初経初来後の続発性無月経を示す場合がある。
【2】発育成長歴の確認
❶母子手帳などを参照し,出生時から乳幼児期・学童期の成育状況や発育成長歴を確認する。
❷Turner女性などでは,発育遅延をみることがある。
【3】乳房発育と外陰部発毛状況
❶必ず所見をとり,それぞれTanner分類で評価する(図1図)。
❷乳房発育は,基本的にエストロゲン作用を反映する。
❸アンドロゲン不応症(androgen insensitivity syndrome:AIS)完全型では,無毛となる。一方,男性型発毛や多毛のときはアンドロゲン過剰症を考慮する。
【4】婦人科診察
❶陰核肥大や陰唇癒合など外陰部男性化の有無,外尿道口と腟開口部の位置,腟の有無と腟長などを評価する。特