診断のポイント
【1】全妊婦に対して二段階法によるスクリーニングを実施する。
【2】スクリーニング陽性の場合には診断検査として75g経口糖負荷試験(75g OGTT)を行う。
【3】随時血糖値≧200mg/dLもしくは空腹時血糖値≧126mg/dL,50gブドウ糖チャレンジ試験(50g GCT)≧200mg/dLの場合には75g OGTTを行わない。
【4】妊娠中の糖代謝異常の診断基準を用いる。
【5】羊水過多症,胎児の成長過多などを認めた場合にも適宜75g OGTTを行う。
症候の診かた
【1】妊婦:糖尿病網膜症,糖尿病腎症,糖尿病ケトアシドーシスに加え,流・早産,妊娠高血圧症候群,羊水過多症。
【2】胎児:先天異常,成長の過大,過小,胎児死亡。
【3】新生児:巨大児,低血糖,低カルシウム血症,多呼吸,心拡大,高ビリルビン血症。
検査所見とその読みかた
【1】二段階法によるスクリーニング法:❷の対象妊婦は❶で陰性であったもの,ならびに❶で陽性であったが75g OGTTで非GDMとされたもの。
❶妊娠初期:随時血糖測定(カットオフ値は各施設で独自に設定する。慣習的には100mg/dL以上)。
❷妊娠中期(24~28週):50g GCT(140mg/dL以上を陽性),あるいは随時血糖測定(100mg/dL以上を陽性)。
【2】スクリーニング法で陽性だった妊婦には,表1図の「妊娠中の明らかな糖尿病」でないことを確認のうえ,75g OGTTを行い,確定診断を行う。
確定診断の決め手
妊婦には表1図の診断基準を用いる。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
「妊娠中の明らかな糖尿病」は妊娠中の管理を優先するための暫定的なもので,糖尿病(→)と診断されるわけではない。
確定診断がつかないとき試みること
切迫早産の治療のためリトドリン塩酸塩を使用している場合は,糖負荷検査の結果は高値になりやすい。一日血糖の結果なども合わせ