診断のポイント
【1】超早産児・極低出生体重児。
【2】生後早期からの呼吸障害。
【3】呼吸障害は進行性に悪化。
【4】X線上所見(網状顆粒状陰影,すりガラス様陰影,気管透亮像)。
【5】羊水または胃液所見〔マイクロバブルテスト(stable microbubble test:SMR)でmedium以下〕。
緊急対応の判断基準
【1】早産低出生体重児の分娩が予測される場合:児が生後呼吸窮迫症候群(RDS)による呼吸不全をきたす可能性があるため,あらかじめNICUを備えた周産期センターへの母体搬送を行う。
【2】周産期センター外で早産低出生体重児が出生した場合
❶当初状態が安定してみえてもRDSによる進行性呼吸障害をきたす可能性があるので,可及的すみやかにNICU施設へ新生児搬送を行う。
❷この際,低体温をきたさぬよう搬送用保育器を用いて体温管理し,可能な限り末梢静脈路を確保,その他気管挿管をはじめとする呼吸管理の準備を行っておく。
症候の診かた
【1】出生週数
❶出生週数が浅いほど発症頻度は高まり,28週以下ではほぼ必発である。
❷母体へのべタメタゾン投与・前期破水・羊膜絨毛膜炎などの肺成熟要因があると同じ週数でも頻度は低下する。
❸帝王切開出生・双胎・母体糖尿病などでは肺成熟が遅れ,週数がある程度進んでいても発症する場合がある。
【2】出生体重
❶主に極低出生体重児に高頻度でみられる疾患であるが,肺成熟不全によるⅡ型肺胞上皮細胞でのサーファクタント分泌不全により発症するため,規定因子は出生体重よりむしろ出生週数である。
❷例えば超低出生体重児であっても子宮内発育不全があって週数が進んで出生した場合,RDSを発症しないこともある。
【3】呼吸障害:新生児の呼吸障害の所見として,多呼吸(>60/秒)・鼻翼呼吸・陥没呼吸・呻吟などがある。なかでも呻吟は最も強い呼吸障害の徴候である。
【4】チアノーゼ:吸入酸素濃度を上