診療支援
診断

新生児の髄膜炎
Neonatal Meningitis
伊藤 進
(香川大学名誉教授)

診断のポイント

【1】妊婦情報の確認をする。特に,B群溶血性レンサ球菌(GBS)感染症や耐性菌の保菌者など。

【2】発症の時期と原因菌の関係が認められており,出生後3~4日以内での早発型では産道感染や経胎盤感染で発症,それ以後の遅発型では水平感染で発症する。

【3】早産児の細菌性髄膜炎に関しては,細菌感染症のスクリーニング検査での敗血症ワークアップ(血液培養,尿培養,髄液培養)で診断する。

【4】「なんとなく元気がない」などの症状や敗血症と合併した急激なショック症状でも発症する。

【5】髄液検査での細胞数,糖,蛋白およびグラム染色や培養の細菌学的検査で診断される。

緊急対応の判断基準

【1】緊急時

❶児の状態が不良の場合は,腰椎検査での診断確定より治療を優先。

❷蒼白や還流不良の症状の場合は病態改善の治療を優先。

❸皮膚硬化症を発症した場合や基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌による場合は交換輸血などの治療を必要とする場合がある。

【2】治療ができる施設への転送の必要がある場合

❶敗血症と合併するおそれがあり,エンドトキシン除去療法が必要な場合,治療可能な施設へ転送する。

❷細菌性髄膜炎の合併症として脳膿瘍や水頭症などがある場合,脳神経外科へ転送する。

症候の診かた

【1】早期症状

❶元気がない,哺乳力の低下,啼泣が弱い,嗜眠傾向。

❷体温の変動(発熱や低体温)。

❸チアノーゼのエピソード。

❹黄疸の増強。

❺無呼吸,呻吟や多呼吸などの呼吸異常。

❻嘔吐や下痢の消化器症状,腹部膨満。

【2】病気が進行した時の症状

❶蒼白。

❷低灌流。

❸ショック(全身性低血圧)。

❹皮膚硬化症。

❺けいれん。

❻大泉門膨隆,項部硬直。

【3】その他の症状:易刺激性(irritability)や啼泣の異常(一声泣き)。

【4】早産児は症状に乏しく,細菌感染症のスクリーニングにより見いだされることがある。

検査所見とその読みかた

【1】細菌

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