診断のポイント
【1】発症率は,米国では出生1,000に対して1~8.1とされている。出生体重が小さくなるほど発症率は高くなる。
【2】その発症時期から,早発型〔生後72時間(1週間)未満に発症〕と,遅発型〔生後72時間(1週間)以後に発症〕に分けられ,発症頻度・起炎菌・リスクファクター・予後が異なる。
【3】早発型
❶腟・腸管内の常在菌であるB群溶血性レンサ球菌(GBS)や大腸菌などの腸内細菌が主な起炎菌である。
❷長期破水,母体の感染徴候(発熱など),母体絨毛膜羊膜炎などがリスクファクターとなる。
❸母体の保有している抗体によりリスクは変わってくるが,早産児ではその効果は少ない。
❹母体GBSのスクリーニング検査・抗菌薬の母体に対する予防投与などにより,その発症率は低下している。
【4】遅発型
❶院内の細菌サーベイランスにも注意しておく必要があるが,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)が増加している。真菌の可能性もある。
❷母体や周囲からの水平感染などによる。
❸長期カテーテル留置,完全経静脈栄養,長期人工呼吸,侵襲的な手技,長期にわたる抗菌薬やステロイドホルモンの投与などがリスクファクターとなる。
❹GBSが原因の遅発型の発症頻度は低下していない。
緊急対応の判断基準
新生児の敗血症は適切な対応をしなければすぐに生命にかかわる疾患である。また,髄膜炎を同時に発症することも多いので注意が必要である。
症候の診かた
【1】初発症状は多様であり,特異的所見に欠ける。
【2】活気不良,哺乳力低下,not doing well(何となく変)などで発症することがある。
【3】呼吸器系の症候として,成熟児では多呼吸・陥没呼吸・呻吟など,早産児では無呼吸発作がある。また,人工呼吸中の児においては,気管内の分泌量の増加やその性状の変化がある。
【4】エンドトキシンなどの作用により,末梢循環不全・心拍出量の低下・血圧低下を
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