診断のポイント
【1】小児(14歳以下)の結核は,乳児期と学童期以降に発生しやすい。
【2】接触者検診で発見されることが多いが,有症状のこともある。
【3】乳児期は重症化(粟粒結核・髄膜炎)しやすく,症状がみられる場合にはすでに病状が進行している。
【4】学童期以降は成人における結核と同様に考えてよい。
【5】胸部X線所見の異常が遷延する場合に,結核を疑ってみる必要がある。
症候の診かた
【1】結核は病状がよほど進行しないと症状が出現しにくく,接触者検診で発見される場合は症状を認めないことが多い。
【2】症状を認める場合
❶学童期以降:発熱・咳・痰・体重減少など成人と同様の症状をみる。
❷乳児期:粟粒結核において発熱・顔色不良・呼吸促迫がみられ,髄膜炎を合併すると発熱・体重増加不良・顔色不良・不機嫌などの症状がみられるが気づかれないことも多く,さらにけいれんや意識障害が出現して診断されることがある。
検査所見とその読みかた
【1】感染についての検査:陽性であれば「感染」または「発病」の可能性がある。陰性であれば「菌を保有していない」か,あるいは感染初期であるか宿主の免疫機能が不良であるために感染を認識していない可能性がある。感染したリスクが高い場合には,必要に応じて検査を反復して観察する。
❶ツベルクリン反応(ツ反):判定は,日本結核病学会による判定基準(2006年)に従って行うが,乳児ではBCG接種の影響などもあり,判定基準があてはまらないことが多い。
❷インターフェロンγ遊離試験(interferon-gamma release assay:IGRA)
■クォンティフェロン®TBゴールドとT-SPOT®.TBがあり,陽性であれば感染を強く示唆する。
■注意すべきは,陰性であっても菌を保有していないことを証明するものではないことである。
■この正常値は成人におけるデータを根拠として定められているので,特に