診断のポイント
【1】新生児。
【2】チアノーゼ。
【3】心雑音。
【4】他臓器の奇形,特異顔貌。
緊急対応の判断基準
【1】チアノーゼ
❶肺動脈閉鎖症などの動脈管依存性疾患では,呼吸状態が安定していても,動脈管閉鎖に伴い,さらにチアノーゼが増悪する可能性もある。プロスタグランジンE1製剤の使用を考慮する。
❷完全大血管転位症ではバルーン心房中隔裂開術が必要なこともある。専門病院への搬送を考慮する。
【2】呼吸障害:原因が心疾患でなくても専門病院への搬送を考慮する必要がある。
❶肺静脈狭窄を伴う総肺静脈還流異常症は緊急対応が必要である。
❷動脈管開存症,心室中隔欠損症(大欠損孔)でも,新生児期に呼吸障害が出現することがあり,早期に治療が必要になることがある。
【3】進行性の代謝性アシドーシス
❶循環が破綻している可能性がある。左心低形成症候群,大動脈縮窄症,大動脈弓離断症では,動脈管が閉鎖してくると,代謝性アシドーシスの進行を認め,プロスタグランジンE1製剤の投与が必要であり,専門病院への搬送を考慮する。
症候の診かた
【1】チアノーゼ
❶新生児期にはチアノーゼがあっても目立たないため,経皮的酸素飽和度測定が必要である。
❷明らかにチアノーゼを認める場合は緊急対応が必要である。
❸大動脈弓離断症や大動脈縮窄症などは,上下肢で経皮的酸素飽和度が解離する。
【2】心雑音
❶先天性心疾患に特徴的な所見である。
❷しかし,総肺静脈還流異常症,完全大血管転位症などのように,心雑音が聴取しない重篤な疾患もあり,注意が必要である。
❸経皮的酸素飽和度測定など他の症候と組み合わせて評価する。
【3】多呼吸,陥没呼吸
❶チアノーゼを合併しないときは心室中隔欠損症などの肺血流増加型の心疾患に多くみられる所見である。
❷チアノーゼを合併している場合は,肺静脈狭窄を合併した総肺静脈還流異常症など緊急を要する場合が多い。
【4】足背動脈の触知
❶大動脈