診断のポイント
【1】2歳未満が80~90%を占め,3か月未満,6歳以上は少ない。また男女比は約2:1である。
【2】血便,嘔吐,腹痛(不機嫌)を3主徴とする。
【3】基礎疾患に伴う器質的病変を成因とするものとそれ以外の特発性のものとがある。
【4】「エビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン」にて提唱されている診断基準を表1図に示す。
緊急対応の判断基準
【1】重症
❶同ガイドラインによれば,全身状態が不良,また腸管壊死が疑われる状況として,ショック症状,腹膜炎症状,腹部単純X線写真で遊離ガス像を示すもの。
❷非観血的整復を禁忌としている。
【2】中等症
❶全身状態が良好でも初発症状からの経過時間が48時間以上,生後3か月以下,先進分が脾弯曲部より肛門側,回腸回腸結腸型,白血球増多(>20,000/μL),CRP高値(>10mg/dL),腹部単純X線写真で小腸閉塞,超音波検査で血流低下・腸管重積部の液体貯留・病的先進分の存在などは中等症とする。
❷非観血的整復に関しては造影剤の選択,整復圧,整復時間,整復回数などに注意が必要である。
症候の診かた
3主徴がそろうことは少ないことを念頭に症候を診察する必要がある。
【1】血便
❶イチゴゼリー状粘血便が特徴的である。
❷10~15%の症例に認められる。
【2】嘔吐
❶発症早期より認められることが多い。
❷イレウス状態が進行すると胆汁性の嘔吐となる。
【3】腹痛(不機嫌)
❶主訴として認められることが多い。
❷間欠的腹痛が特徴的である。
❸乳幼児では啼泣や不機嫌として認められることもある。
検査所見とその読みかた
【1】腹部触診
❶腹部腫瘤の触知:右上腹部のソーセージ様腫瘤。
❷ダンス徴候:触診上,右下腹部が空虚。
【2】血便の確認:来院時,腹痛,嘔吐が主訴で血便の症状を認めないとき,浣腸による血便の有無を確認する。
【3】腹部単純X線写真
❶腫瘤上陰影欠損などを認めることがあ