診断のポイント
【1】生下時から始まる腸閉塞または頑固な便秘。
【2】症状には個人差が大きい。
【3】90%が体重2,500g以上で,男女比は3:1と男児に好発する。
【4】Down症は症状を重症化させる因子で,合併率は8%である。
【5】重篤な腸炎を併発しやすい。
緊急対応の判断基準
【1】進行性の腹部膨満を示す新生児腸閉塞:絶食,点滴静注,洗腸などの腸管減圧処置や人工肛門造設などが緊急に必要となる。小児外科医への緊急コンサルト,または小児外科施設への緊急搬送が必要。
【2】発熱,悪臭を伴う下痢や噴出状の排ガスがある場合:腸炎を示唆する所見で,抗菌薬投与,腸管減圧処置,人工肛門造設などの緊急処置が必要となる。診断・治療が遅れるとtoxic megacolonとよばれる腸管の高度拡張を伴う致死的敗血症へと移行する。
症候の診かた
【1】胎便排泄遅延
❶満期産児は,生後24時間以内に90%以上が濃緑色の胎便を排泄するが,本症では,24時間以内の排泄が6~43%,48時間以内が38~72%と低く,本症を診断する重要な徴候である。
❷低出生体重児:腸管運動の未熟性のため腹部膨満や腸閉塞症状をきたしやすく,胎便排泄も遅れるため,鑑別を要する。徴候を評価するうえで出生体重に留意する必要がある。
【2】腹部膨満
❶最も頻度の高い症候で,65~93%に発生する。
❷胆汁性嘔吐,食思不振,便秘症状と続くが,古典的3徴とされる胆汁性嘔吐,腹部膨満,胎便排泄遅延がすべてそろうのは26%と少ない。
❸本邦での全国統計では,新生児期に診断されるのは39%,1歳以降に診断される症例も12%存在し,浣腸や肛門部の刺激などでイレウス症状が緩和され慢性便秘として経過をみられている症例も多く,腸閉塞症状や便秘の程度には個人差が大きい。
【3】悪臭を伴う下痢
❶腐敗臭のような悪臭を伴う下痢は腸炎の発生を示す所見で,肛門ブジーや肛門指診をするとた
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